10年前、妻と私はハワイのワイキキにあったアパートに住んでいた。そして、アパートの周辺を散策しているときに、ある建築要素が随所に使われていることに気付いた。それは小さくて中が空洞のコンクリートブロック。まるで子どもが切り紙細工で作った雪の結晶の立体版のようなパターンが中央にあしらわれていた。一つの壁に何十、何百ものブロックが積み重ねられ、さらに大きく複雑な模様を生み出している。どっしりとした安定感がありつつも、どこか儚い得も言われぬ魅力が醸し出されている。私は、その独特の建築美にすっかり魅了されてしまった。
これはなんと呼ばれるものなのだろう? 写真を撮って、インスタグラムに投稿してみた。答えを教えてくれたのはウェイ・ファンさんだった。「#ブリーズブロック」。彼女は一言こう答えた。
ブリーズブロックは世界各地で見られ、ブラジルではコボゴと呼ばれている。オーストラリアでは、大手メーカーの社名にちなんでベッサー・ブロックと呼ばれることもある。そして、沖縄では
「花ブロック」として親しまれている。中城村出身の建築家である仲座久雄さんが、琉球の伝統織物「花織(はなうい)」に着想を得て普及させた花ブロックは、沖縄の戦後復興の象徴としても知られ、今でも県内の随所で見られる。